回顧録⑤
滋賀本部校|2017年7月11日
第二章が幕を開けた2013年。
正直、卒業していった講師たちの穴は予想していたよりも大きく、苦しい船出となりました。
私自身も燃え尽きた感が半端なく、もぬけの殻のようになっていました。
当時、孤軍奮闘していた講師も看護の実習で1年近く離れることが決まっていました。
まさに弱り目に祟り目の状態だったのです。
そこに、すい星のごとく救世主が現れたのです。
それは意外な人物でした。ここの卒塾生とはいえ、現役当時はろくに挨拶もしない、
私とはもちろん、講師とも関わることはほとんどなかったような、そういう生徒でした。
とても当時は一緒に働くなどとは思ってもみない存在でした。
そんな男がここで働きたいと言い出すのです。私は訝しがりました。
しかし、彼が来てからというもの劇的に流れが良くなった、とまでは行きませんが、
明らかに潮目が変わりました。
この年のここでの受験生は史上最少でした。ただ、その半数以上が不合格になる可能性が高かったのです。
こんな状況で大量の不合格者まで出してしまっては塾として本当に終わる。
当時の私は、毎日そのプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。
彼がその思いを共有してくれるだけで、どれだけ助かったか。
彼もいっしょに闘ってくれたのです。当時の彼は、まさに私の戦友と呼ぶにふさわしかった。
あの時、お金に困った彼が校舎の窓を見てくれていなければ。
あの時、訝しがった私が彼を断っていれば。
あの年の奇跡の全員合格も、そして、今の滋賀本部校もなかったと私は断言できます。
滋賀本部校 宝蔵